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奇妙な果実
先日、近所をぶらっとしていた時の事でした。
何気に入った一件のひなびた雑貨店。
その雑貨店の奥に、
鼻眼鏡をかけた恰幅のよい黒人のおばあちゃんが
今にもつぶれそうな折りたたみイスにこしかけ
何やら数冊の『本』を膝にのせその内の1冊を朗読していたのです。

Southern trees bear a strange fruit
Blood on the leaves and blood at the root
Black bodies swinging in the southern breeze
Strange fruit hanging from the pop - lar trees.
Pastoral scene of the gal - lant south --
The bulging eyes and the twisted mouth;
Smell of magnolia, sweet And fresh,
Then the sudden smell of burning flesh.
Here is the fruit for the crows to pluck,
For the rain to gather, for the wind to suck,
For the sun to rot, for the tree to drop,
Here is a strange and bitter crop.

彼女が繰り返し読んでいたのは、
ビリーホリデーが歌った名曲中の名曲『奇妙な果実』の歌詞でした。

この曲は、木にぶらさがった奴隷の変わり果てた姿を
果物に例えて歌っていることで有名ですが、
歌というのは、
どんなにすさまじい歌詞であってもメロディにのせて歌うと、
どこかオブラートに包まれた状態で耳に入ってくるものです。

ですが。

これを『朗読』という形にすると一転して、
耳を通り越してダイレクトに胸に突き刺さってくる迫力があるのです。


  ~もう何年も前になるかしらね~

誰に語りかけるわけでもなくフレーズの最期にそうつぶやき、
そしてまた同じフレーズを繰り返し読んでいく。

ただ、その繰り返し。

閑散とした店内の奥から聞こえるその声は
大きくもなく小さくもなく、ゆっくりと、
年輪を感じる落ち着きを放っていました。

『本物』とは、こうして静かに語られていくものなのでしょう。

【2007/02/02 15:47】 | day book | page top↑
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